放送文化の発展に貢献した人や作品に与えられる賞として、米国の「エミー賞」などが有名ですが、韓国でも毎年「演技大賞」という華やかな祭典が行われ、ドラマファンの注目を集めています。
「演技大賞」は、KBS、MBC、SBSの地上波三局がそれぞれ、各年に放送されたドラマに対して、優秀な俳優、作品、制作スタッフなどに授与する栄誉ある賞です。毎年末に生放送されます。
今回は、2023年の「KBS演技大賞」の主要な各賞を受賞した俳優と作品を紹介します。
大賞 チェ・スジョン「高麗契丹戦争」
「2023 KBS演技大賞(字幕付き)」1/21㊐11:50~
KBSのドラマを総括するKBS演技大賞👑#アン・ジェヒョン#キム・ドンジュン#チェ・スジョン#イ・サンヨプ#チャン・ドンユン#ソ・ジュニョン#ユイ#チョ・イヒョン#チュ・サンウク#イ・ジュン 他 出演✨詳細➡https://t.co/fmVUveyeIQ pic.twitter.com/C89P5rFwK2
— KBS World (@KBSJAPAN) January 7, 2024
公営放送50周年を迎えたKBS特別企画大河時代劇『高麗契丹戦争』
初回放送
11月11日
契丹との戦争を勝利に導いた第8代王・顕宗(ヒョンジョン)と、彼の政治師匠で高麗軍の総司令官だったカン・ガムチャン(姜邯賛)の物語
チェ・スジョン10年ぶりとなる時代劇
こういうおっさん🙇のドラマ大好きです💓 pic.twitter.com/VvKIizilyu— かよよんちゃん💓元芸者アイコン (@kayoyon18) October 23, 2023
最初にご紹介するのは、2023年の「KBS演技大賞」で「大賞」を受賞したチェ・スジョンさんです。「高麗契丹戦争」で主役を演じました。ちなみにドラマ「高麗契丹戦争」は、KBS演技大賞で七冠を達成する圧倒的強さをみせました。
本ドラマは、天才的な指導力で高麗をひとつにまとめ、契丹との戦争を勝利に導いた皇帝・顕宗(ヒョンジョン)と、彼の政治の師匠であり、高麗軍総司令官だった、カン・ガムチャン(姜邯賛)将軍の物語です。
公営放送50周年特別企画の大河ドラマであり、国民的俳優として知られるチェ・スジョンさんの10年ぶりの時代劇とあって、公開前から熱い注目を集めていましたが、2023年11月より放送されると高視聴率を叩き出しました。
「高麗契丹戦争」というタイトルの通り、戦争を前面に押し出し、スペクタクルな戦闘シーンで視聴者を魅了しています。制作費は大河ドラマとしてはこれまでの最高の総額270億ウォンで、KBSが社運を賭けた作品と言えます。
また、韓国ドラマ史上初となる、最新ハリウッド特殊効果(バーチャルプロダクション)を使用しており、大規模な戦場の姿や高麗時代の建築物と生活物をリアルに再現している点が注目に値します。
一方、今回「大賞」の他「ベストカップル賞」も受賞したチェ・スジョンさんは、1962年12月18日ソウル市生まれの62歳(2024年現在)。
「KBS演技大賞」の受賞は、2007年の「大祚榮」での受賞以来16年ぶりで、今回で4度目となり、歴代最多受賞者となりました。
1987年に「愛が花咲く樹」でデビューすると、ドラマのヒットと共に彼の人気も上昇。その後、青春スターとして、数々のドラマ・映画に出演します。特に、1996年に主演した「初恋」では最高視聴率66%を記録し、国民的俳優への仲間入りを果たしました。
転機となったのが、2000年に出演した「太祖王建」で、彼の卓越した演技力が、最高視聴率60%を記録する大ヒットドラマを生み出し、KBS演技大賞・大賞の受賞に繋がりました。こうして「韓流時代劇王」と称されるほどの、時代劇の第一人者となりました。
チェ・スジョンさんは、本作品で主人公のカン・ガムチャン役を演じましたが、これまでもKBSの大河ドラマでは何度も主人公を演じており、しかもいずれのドラマも驚異的な視聴率をたたき出しているが故に、彼自身かなりのプレッシャーを感じていたと、受賞時のインタビューで素直な気持ちを吐露しています。
■最優秀男優賞 キム・ドンジュン 「高麗契丹戦争」
「高麗契丹戦争」キム・ドンジュン、イ・ミニョンに立ち向かう【ネタバレあり】https://t.co/eVUJVI4BsM
— Kstyle (@Kstyle_news) November 13, 2023
続いてご紹介するのは、同じく「高麗契丹戦争」で主役を演じ、「KBS演技大賞」で「最優秀男優賞」を受賞したキム・ドンジュンさんです。高麗契丹戦争を勝利に導き、高麗王朝の基礎を築く上で大きく貢献した君主・第8代王、顕宗(ヒョンジョン)役を演じました。
除隊後の復帰作で本役に抜擢されたキム・ドンジュンさんは、受賞時インタビューで「人生で最も情熱に満ちている時期にこの作品に出会えたこと。また、チェ・スジョン先輩が心からの助言してくれたことに心から感謝している」と語っています。
「高麗契丹戦争」キム・ドンジュン、君主としての責任感を見せる【ネタバレあり】https://t.co/jnjUgtPoog
— Kstyle (@Kstyle_news) December 11, 2023
キム・ドンジュンさんは1992年2月11日 プサン広域市生まれの32歳(2024年現在)。
2010年にアイドルグループ「ZE:A」のメンバーとしてデビューすると、ドラマでも、2016年「輝けウンス」、2017年「ブラック」、2019年「補佐官」、2020年「場合の数」、2021年「朝鮮駆魔師」などを通して着実にキャリアを積み、演技力を認められました。
■最優秀男優賞 ロウン「婚礼大捷」
ロウンくん、
イヒョンちゃんと人気賞W受賞おめでとうございます🥹❤️
ロウンくん良かったね😭
婚礼大捷、万歳〜🙌🏻🙌🏻🙌🏻#ROWOON #ロウン #로운 #2023KBS演技大賞 pic.twitter.com/t8mAvQOlit— R0807___YURI♡ (@R0807___LOVE) December 31, 2023
三人目にご紹介するのは、ドラマ「婚礼大捷」で主役を演じ、「最優秀男優賞」の他、「ベストカップル賞」と「人気賞(男性部門)」も受賞したロウンさんです。ちなみにドラマ「婚礼大捷」は、KBS演技大賞で五冠を達成する快挙を成し遂げました。
本ドラマは、朝鮮時代の駙馬と未亡人が出会い、怨女や曠夫を相手に婚礼大作戦を繰り広げる、お見合いコミックメロドラマです。
ロウンさんとチョ・イヒョンさんが共演し、従来の時代劇とは全く違うフュージョン時代劇ということで、注目を集めていました。
SF9 ロウン、新ドラマ「婚礼大捷」スチールカットを公開…眩しいビジュアルhttps://t.co/26vK2fwDPS
— Kstyle (@Kstyle_news) October 3, 2023
また、過去に代表的なフュージョン時代劇の衣装として「還魂」、「お嬢さん」、「アスダル年代記」などを担当した、韓国を代表する衣装監督のチョ·サンギョンさんが、今回も担当する事でも期待されました。
一方、本作品で、優れた容姿と明晰な頭脳を持ち、駙馬になるも、婚礼中に亡くなった姫のために、出仕の道も結婚の道も閉ざされる悲運の男を演じるロウンさんは、1996年8月7日ソウル市生まれの28歳(2024年現在)。
2016年10月に、ダンスボーイズグループ「SF9」のメンバーとしてデビュー。グループの中でもずば抜けて背が高く、ビジュアルでも一際目を引く存在でした。
俳優としてのキャリアは、2017年のドラマ「恋するレモネード」の脇役からスタート。そして、2019年には「偶然見つけたハル」で主演を務めると、人気は急上昇し、「新人俳優賞」を受賞します。
その後、主演を務めたドラマは全てヒットを記録し、2021年の「恋慕」は韓国ドラマとして初めて国際エミー賞を受賞。世界から注目される俳優の1人となりました。
■最優秀女優賞 ユイ 「ヒョシムの独立奮闘記」
四人目にご紹介するのは、ドラマ「ヒョシムの独立奮闘記」で主役を演じ、「KBS演技大賞」で「最優秀女優賞」を受賞したユイさんです。
本ドラマは、家族のために自分の人生を犠牲にしてきた、ユイさん演じるヒョシムが自分の人生を歩みはじめるラブコメ・ホームドラマです。
本作品でのユイさんの演技力は、感情や思考を微細に表現し、視聴者に深い感動を与えています。主人公ヒョシムの苦しい過去や不安、喜びに寄り添い、彼女を支える姿勢が際立っています。
ユイさんは1988年4月9日 テジョン広域市生まれの36歳(2024年現在)。もともと女優志望でしたが、先に歌手としてデビューします。
2009年に「AFTERSCHOOL」の6番目のメンバーとして加入し正式デビュー。また同年、時代劇「善徳女王」で女優デビューすると好評を博し、さまざまな賞を受賞します。
そして人気も急上昇し、バラエティ番組やCMにもひっぱりだことなります。また「美脚」も話題となり、「AFTERSCHOOL」では代表格として活躍しました。
2017年にAFTERSCHOOLを卒業し、女優として活躍しています。
■長編ドラマ優秀演技賞(男性部門)ハジュン「ヒョシムの独立奮闘記」
五人目にご紹介するのは、やはりドラマ「ヒョシムの独立奮闘記」で主役を演じ、「KBS演技大賞」で「長編ドラマ優秀演技賞(男性部門)」を受賞したハジュンさんです。
ハジュンさんは、本ドラマで、祖父は大企業テサングループを立ち上げ、父も経営拡大に尽力するも、自身は米国留学して教授になることを望むカン・テホ役を演じます。
カン・テホは、献身的で忠実な恋人としてヒョシムを支えます。そして物語は、彼女が家族のもとから離れ、独立した人生を歩む中で、二人を取り巻く様々な人間関係や成長が描かれていきます。
ハジュンさんは、1987年4月3日慶尚南道昌原市生まれの37歳(2024年現在)。
2012年に、ミュージカル「幻想のカップル」でデビュー。ドラマでは、2015年「六龍が飛ぶ」や2018年「ラジオロマンス〜愛のリクエスト〜」に、2020年の「ミッシング:彼らがいた」などが代表作です。
また映画では、2017年の「犯罪都市 THE ROUNDUP」などに出演しています。
■長編ドラマ優秀演技賞(男性部門)チ・スンヒョン「高麗契丹戦争」
六人目にご紹介するのは、ドラマ「高麗契丹戦争」で、ヤンギュ将軍を演じて、「KBS演技大賞」の「長編ドラマ優秀演技賞(男性部門)」と「人気賞」を受賞したチ・スンヒョンさんです。
チ・スンヒョンさんは、本作で、契丹軍の刀で鎧が取れ、体に矢が刺さりながらも契丹皇帝を狙って矢を撃ち、立ったまま息を引き取るという、壮絶な姿を演じました。
受賞時インタビューで、「ヤンギュ将軍を演じることができて感謝しているし、その活躍を知って胸がいっぱいだ。愛民と犠牲精神なしに成し遂げられない華やかな業績を残した方だ」と、配役への感謝の気持ちを述べています。
さてそんなチ・スンヒョンさんは、1981年12月19日安東市生まれの43歳(2024年現在)。
2008年にデビューすると、2023年には、ドラマ「恋人」や、「最悪の悪」など数々のヒット作で確実な演技力を見せて、脇を固める実力派俳優となります。
特に2019年のドラマ「恋愛ワードを入力してください」で独特な魅力を放ち、人気が急上昇しました。
■長編ドラマ優秀演技賞(女性部門)ペク・ジニ「本物(チンチャ)が現れた!」
最後にご紹介するのは、ドラマ「本物(チンチャ)が現れた!」で主役を演じ、「KBS演技大賞」の「長編ドラマ優秀演技賞(女性部門)」を受賞したペク・ジニさんです。
本ドラマは、シングルマザーと非婚主義の医師が繰り広げる偽装ロマンス。妊娠・出産・育児を通じて二人が成長していく姿を描いたラブコメ・ホームドラマです。
最終回の視聴率が23%を記録するなど、高視聴率をキープし続けた人気作。
果たして偽物夫婦は、おなかの中の子「チンチャ(本物)」の妊娠・出産・育児をどう乗り越えていくのか。思惑通りには進まない見どころ満載の物語です。
本ドラマで、元カレの子を妊娠し、偽装結婚する塾講師オ・ヨンドゥ役を演じるペク・ジニさんは、1990年2月8日ソウル市生まれの34歳(2024年現在)。
中学生の時にスカウトされ、ファッション誌やCMのモデルとして芸能界入りしますが、その後、高校の先輩でもあるイム・スジョンさんに憧れて女優を志します。
そして2008年、映画「人を探しています」で女優デビューすると、2013年のドラマ「奇皇后」の悪役でブレイクを果たし、同年のMBC演技大賞・新人女優賞を受賞。
また、2015年のドラマ「いとしのクム・サウォル」で主演を務めました。演技力が光る注目の若手女優の一人です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
2023年の「KBS演技大賞」では、「高麗契丹戦争」の七冠制覇や「婚礼大捷」の五冠制覇が目をひきましたね。
これは近年、バラエティやドラマ部門の視聴率が振るわないことで、危機感を持ったKBSが得意分野の大河ドラマや時代劇に注力し始めたことの裏返しとも言えます。
果たしてこの試みが功を奏すか見守りたいですね。