女優さんにとって監督との相性は、作品を作るうえでとても重要。監督の考え方や言動によって人生が変わるほどの影響を受ける方もいるようです。逆に一生拭えない傷や精神的苦痛を被ることも・・・。実際、告訴され、略式起訴されている監督もいます。
今回は監督に恵まれず、トラウマを負ったと告白した韓国女優3人をご紹介。
キム・ギドク監督は罰金を受けたことも
この投稿をInstagramで見る
”韓国の鬼才”と呼ばれた映画監督のキム・ギドクさん。その並外れた才能で数々の作品を脚本から生み出し、世に送り出してきました。『鰐〜ワニ〜』で監督デビューを果たし、以降『魚と寝る女』『受取人不明』などの作品を残しています。
2001年の『悪い男』ではソウルだけで30万人を動員し、翌年世界三大国際映画祭のひとつであるベルリン国際映画祭のコンペティション部門に出品。
2003年に発表した『春夏秋冬そして春』は、韓国映画界最高の栄誉でもある大鐘賞(テジョンしょう)と青龍賞(チョンニョンしょう)の作品賞を受賞。
そんな優れた才能の持ち主キム・ギドク監督は過去に女優を暴行したとして約52万円もの罰金を支払っています。
キム・ギドク監督が提訴…暴行でベッドシーンを強要? #キム・ギドク #キムギドクhttps://t.co/T4tC0exIDT pic.twitter.com/R54vmJT0t6
— THE FACT JAPAN(ザ・ファクト・ジャパン) (@sportsseoul_jp) August 3, 2017
2013年公開の『メビウス』で母親役を演じる予定だったAさん。(被害女優Aさんの身元は公表されていません)ですが、キム・ギドク監督が役に入り込ませるためにAさんの頬をたたき、予定になかったベッドシーンを強要したそうです。
キム・ギドク監督は「頬を叩いたのは気持ちを高めるためであった。夫目線で彼女を叩き撮影したかもしれないし、どの程度叩けばいいのか彼女に示すために自分で自分の頬を叩いたかもしれない」と釈明するかたちで暴行を認めました。
しかし、ベットシーンについては「強要した記憶はない。」と答え、結果的にAさんは最後まで映画を撮影することなく降板。
なぜ監督が”かもしれない”や”記憶はない”などと答えているかというと、この事件があってから4年もの月日が経っていたからです。彼女は映画降板後すぐに弁護士に相談したそうですが、女優のキャリアに傷がつくことを恐れ、告訴を取りやめることに・・・
しかし、精神的苦痛が癒えることがなかったので、4年後の2017年に韓国の映画産業労働組合(映画労組)を訪問。ギドク監督の暴行疑惑について証言し、ソウル中央地検に告訴状を提出したんだそう。4年もの間苦しみに耐え、辛かったでしょうね・・・。
キム・ギドク監督を暴行容疑で告訴…俳優A側「演出ではなく暴力、徹底的に捜査してほしい」(総合) – 韓国芸能ニュースはKstyle https://t.co/p5My6jjomb
— ├″≠²🍓! (@dokidoki15) August 9, 2017
キム・ギドク監督本人は「申し訳ないことをした」と述べつつも、「数年も前のことで記憶はない」と供述していましたが、暴行やベットシーンの強要を現場にいた人々が目撃したとの証言があったため、略式起訴されました。
監督に恵まれなかったと告白した女優3選
有名韓国女優さんでも監督に恵まれなかったことがあったようで、事実を告白している人がいました。その中でも3名ご紹介します。
ファン・ジョンウム
この投稿をInstagramで見る
『秘密』『キルミーヒールミー』『彼女はきれいだった』に出演し、シリアスな演技からコミカルな演技まで高い評価を受けているファン・ジョンウムさん。ガールズグループSugarでデビューしアイドル活動をしていましたが、2004年に脱退。
以降は女優として活動をされておりそのキャリアを積まれています。そんな彼女が監督に恵まれなかったと告白したのは、ドラマ『ゴールデンタイム』に出演したときのこと。
『ゴールデンタイム』は2012年に放送された医療ドラマで最高視聴率14.5%の同時間帯1位を獲得し3話延長するほどの人気を博したドラマです。この作品で主人公のカン・ジェイン役を務めていたファンジョンウムさんですが、撮影は本当に厳しいものだったと明かしています。
『キルミーヒールミー』の制作発表会に出席した際に、過去に出演した『ゴールデンタイム』へ言及し、「監督がイマイチだったことで、当時はつらい思いをした」と発言。
「これまでの監督はみんな親切で、キルミーヒールミーのキムジンマン監督はゴールデンタイムのクォン・ソクジャン監督のように不快にはならない。クォンソクジャン監督とまた仕事をしたいとも絶対に思わない」といった趣旨の発言を残しました。
あまりに正直な告白だったのでその場の空気は凍りついてしまい、共に主演を務めたチソンさんが「ファン・ジョンウムさんは正直な人なので大目に見てほしい」と収拾したそうです。
雑誌「Singles」でも「ドラマの主人公を務めることが自分のプレッシャーになり、睡眠薬を飲まないと眠れないほど敏感な日々が続いた」と回想。ゴールデンタイム出演後だったので、そのときの撮影時のことだったのではないかと思われます。
どうやら当時監督クォン・ソクジャンさんはNGは出すけれど、”なぜそんな演技しかできないのか”と指摘するだけだったそうです。NGを出すたびに答えのない指摘ばかりを受け、辛い日々を送ったそうですよ。
「明るく笑うだけで撮影していた今までとは違い、ゴールデンタイムでは先輩の演技と監督の指示を全く理解できなかった。最初はあまりにも辛くて、(出演の)選択を後悔したこともあった」とも語っているぐらいです・・・。
しかしこのドラマで演技者として一皮剥けたそうで、この経験を糧にし壁を乗り越えたことで今があるのだとか!どんな人にも山あり谷ありといいますが、輝かしい世界で活躍する彼女にもそんな経験があったんですね。
この投稿をInstagramで見る
とても辛かったとは思いますが、撮影をやりきったこと、当時を思い返しそれを力に変えられたこと、必ず報われていると思います!
イ・サンア
イ・サンア、久しぶりにドラマ復帰!「美容外科のコーディネーターとして活動したことはない」https://t.co/6q8vP45i6d pic.twitter.com/bqs0Tv53Tx
— 韓国ドラマ三昧 (@kndorazanmai) January 3, 2016
映画『キルソドム』に出演し12歳でデビューしたイ・サンアさん。大きな目と鼻筋の通った顔立ち、そのかわいらしいビジュアルからデビュー後話題となり、1980年代には180本ものCMに出演し莫大な人気を得ました。
そんなイ・サンアさんは中学2年生の時、デビュー作となった『キルソドム』で露出シーンを強要されたと告白。
『キルソドム』(1985)
イム・グォンテク監督の韓国映画。冒頭にKBSの朝鮮戦争の離散家族を捜す番組が流れ、再会した人達の涙の感動シーンが溢れる。しかしこの作品は時を経て再会する事が好ましく無いケースや、出会った後の生活面の問題等をシビアに描いた作品。人生の無力さや恨を痛感する傑作。 pic.twitter.com/y20GnYai56— SQUIRM (@SQUIRM_Pynchon) May 26, 2021
ヒロインの少女役としてキャスティングされた彼女でしたが、当時まだ台本が出来上がっていないとのことだったので、スタッフの連絡を待ち続けていました。数日後出来上がった台本を見て、中学2年生が演じるには難しすぎる卑猥な内容が複数あり困惑したそうです。
それをみた母親は「娘にそんな内容の出演はさせられない。辞退したい」と某監督に連絡すると、監督は母親の思いに共感し、「そんなことをさせられるはずがない、私を信じてほしい」といった言葉を残したため、信頼し出演を決意。
問題なく撮影は進んでいましたが撮影最終日になり服を脱ぐことを強要され、泣きながら拒否すると、監督から「今まで撮影したフィルム代が払えるなら帰っていいよ」といわれてしまいます。結局露出シーンを撮らざるを得なくなったと衝撃の告白を暴露。
作品自体は世間から評価されましたが、数十年たちイ・サンアさんの告白を受け問題視される一件となりました。中学生には経験する必要のなかった経験を無理やりさせられ、深い傷が残ったことでしょう。
年齢が上がったからといって癒えるものではありませんし、露出強要なんて許されませんね。
チョン・ソミン
#1パーセントの奇跡#ハ・ソクジン#チョン・ソミン pic.twitter.com/nPKdxIXCTy
— umeko (@plum_peach_m) July 7, 2022
『オーロラ姫』『1%の奇跡~運命を変える恋』などに出演しているチョン・ソミンさん。
女優業のほかにバラエティ番組『ランニングマン』でも人気で、二足のわらじで活躍する女優さんです。そんな彼女は無名時代に主演を務めたあるドラマの監督から受けたつらい経験を告白しています。
その監督はチョン・ソミンさんがNGを出すたびに、音が出るほどの強さで頭を叩かれ、暴言も日常茶飯事だったといいます。自分を守るため、NGを出してしまった際には自分自身で頭を叩き、監督から叩かれないようにしていたんだとか・・・
監督はその行動を何度か見過ごしてはいましたが、その意図に気づいた監督はさらに強い強さで叩いてきたそうです。撮影環境も悪く、衣装も自前で、照明器具なども演者自らが移動。監督は女優たちに対して「朝食を作れ」と強要してきたとの告白もしました。
あまりにも辛い日々が続いたため彼女はタクシーでその場から逃げ出そうとしましたが、泣きながらおりていた階段の途中で監督と出くわしてしまい、逃げることができなかったそうです。
さらに辛い出来事は続き、「撮影したテープがどこかへいってわからなくなった」と、このドラマは放映されず出演料も支払われなかったんだとか・・・性格のよいと知られるチョン・ソミンさんが暴露するとは相当辛かったのだろうと思います。
まとめ
撮影後であっても「監督に恵まれなかった・・・」なんて告白するのは勇気がいることですし、言わないでおくことも考えたはず。ですが、誰かに訴えたくてつらい気持ちを分かってほしくて告発したのだと思います。
監督の言葉を糧にして、さらに上へ成長した方もいらっしゃいましたが、なかなかできることではありません。芸能界で活躍する以上、強靭な精神力がいるのだと改めて感じました。
最後までご覧いただきありがとうございました。