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【積み木くずし】はどんなドラマ?出演者の現在は?

1982年に俳優の穂積隆信さんの体験を基にした「積み木くずし」という本が出版されました。副題は「親と子の二百日戦争」。この本は大変な反響を呼び、映画化、そしてテレビドラマ化もされました。

ドラマ「積み木くずし」は1983年2月5日から3月29日まで毎週火曜日に放送されました。非行に走った一人娘との壮絶な闘いの日々、そして、娘が更生するまでの家族の血の滲むような努力を綴った実録作品。リアルで迫力のある描写は視聴者に強く訴えかけていました。

主演は当時アイドルとして人気絶頂にあった高部知子さん。その体当たりの演技の凄まじさは社会現象にもなった程です。

そこで今回は、このドラマ「積み木くずし」に出演した主要キャストの皆様の現在についてご紹介したいと思います。

また、実際にモデルになった方々についてもご紹介いたしましょう。

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積み木くずしはどんなドラマ?

俳優の穂高信彦は妻の三枝子、娘の香緒里の三人家族。信彦は仕事柄家を留守にすることが多く、娘の教育などは妻に任せきりでした。

香緒里は幼い頃から学校へ行けないほど病弱で、薬で治療を続けますが、髪の毛が赤く変色してしまい、中学校ではその赤毛のせいでいじめの標的になったりもしました。他の生徒から因縁をつけられ、ケガをすることもあり心は荒んでいきます。

そんなある日、突然非行に走ってしまった娘の香緒里。そこから始まる想像を絶する闘い。不登校、家出、シンナー、窃盗、家庭内暴力など香緒里の非行はひどくなるばかり。まさに家族にとっては地獄のような日々が始まるのでした。

それまで娘の教育を妻に任せきりにしていた信彦、そして娘を甘やかし続けていた妻・三枝子はカウンセラーの力を借りながら香緒里と向き合い更生へと導いていくのです。

ドラマ「積み木くずし」は決して「子育てもの」ではありません。むしろ「親育てもの」と言った方がふさわしいかもしれません。親は常に一貫性を持ち、子供に対しては毅然とした態度を取るべきだということをこの親子の闘いが教えてくれるのです。

出演者の現在は?

それではここで、ドラマ「積み木くずし」に出演した女優・俳優の皆様の現在に迫ってみましょう。

高部知子(穂高香緒里)

高部知子さんが演じた穂高香緒里は不在がちな父、そして母からの溺愛を受けたこともあり、幼い頃は内向的でわがままな性格でした。

高部知子さんはテレビ朝日の「欽ちゃんのどこまでやるの!?」において、「萩本欽一さんの愛娘」3人で構成されたユニット「わらべ」の長女・のぞみを演じて大人気を博します。その後ドラマ「積み木くずし」で主人公を演じて大ブレイク。

しかし、人気絶頂の1983年、ベッドに横たわり、タバコを加えた写真が写真週刊誌「フォーカス」に掲載され未成年喫煙などの疑惑が浮上。これは「ニャンニャン事件」と呼ばれ、この影響で出演中の番組やCM全てを降板し謹慎生活に入ります。

謹慎明け以降はドラマ「転校少女Y」に主演、シングル「雨の街」でソロ歌手デビュー。22歳の時に幼馴染と結婚してコンビニの経営に務め2児をもうけますが、数年後に離婚。その後再婚しますが、再び離婚となります。

2022年現在、高部知子さんは精神保健福祉士として、認知症患者のカウンセリングなどを行い、その進行の度合いを図りながらケアの対策を考えているそうです。自らが苦しみ悲しんで、精神医療の道を探っているとのこと。

現在、高部知子さんは20代の娘さん二人と平穏な生活を送っています。思えば、高部知子さんの人生も波乱万丈と言えるかもしれません。あれから年月を重ね54歳になった今、ご本人は「生きるとはなんぞや」と問い続けたいと語っています。

前田吟(穂高信彦 )

前田吟さん演じる穂高信彦は香緒里の父親で俳優。娘の教育は妻に任せきり。世間体を気にする面はありますが、家族への愛情は持っています。

前田吟さんの母はシングルマザー。生後すぐに前田家に養子としてもらわれましたが、4歳くらいの時に養母が亡くなり、中学2年になる前に養父も他界。行き場を失って親戚のおじさんに預けられたそうです。大変な苦労だったでしょうね。

前田吟さんは黒澤明監督の映画を観て感動し、役者になることを決意。「ドレイ工場」の演技が山田洋次監督の目に留まり、映画「男はつらいよ」シリーズ50作の全てに出演しました。またドラマ「渡る世間は鬼ばかり」にも29年間出演しています。

1964年に結婚した前田吟さん。2022年現在お子さんは4人。全て男の子で、長男はテレビ東京勤務、次男は「3年B組金八先生」「HOTEL」などに出演している 俳優の前田淳さん、三男は会社経営者、四男は競技ダンス選手の前田亨さんと、みなさん各分野で活躍中。

デビュー以来数多くの映画やドラマで活躍する前田吟さんですが、近年はドラマ「全力疾走」映画「3月のライオン」その他「二代目和風総本家」などのバラエティにも出演しています。出演本数は減りましたが、お体に気をつけて今後も頑張っていただきたいです。

 

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小川真由美(穂高三枝子 )

小川真由美さんが演じる穂高三枝子は香緒里の母で、病弱な香緒里に対して負い目を持ち甘やかして育ててきました。カウンセラーの竹村からのアドバイスに戸惑いながらも、香緒里を更生させるために立ち上がります。

文学座の研究生としてデビューした小川真由美さんは、ドラマ「孤独の賭け」や映画「二匹の牝犬」などでの強烈なイメージから、「悪女スター」というレッテルを貼られたこともありましたが、一方では名女優・杉村春子さんの後継者とも謳われていました。

小川真由美さんは1967年、同じ文学座所属の俳優・細川俊之さんと結婚し、一女をもうけますが1973年に離婚。その後舞台で共演した俳優の橋爪功さんと急速に接近し婚約。しかしこれは「実験婚約」と本人も語っており、実際、結婚には至りませんでした。

娘の小川雅代さんは2012年に告白本「ポイズンママ 母・小川真由美との40年戦争」を出版。母親から受けたとされる数々の精神的虐待により、うつ病とパニック障害を引き起こしたことなどを赤裸々に綴っています。

小川真由美さんは怪しげな宗教や霊能者に翻弄されていた時期もあったとか。一般人には窺い知れない、スターとしての悩みやストレスもあったでしょうし、特に孤独な芸能人は洗脳されやすいのかもしれません。現在はこれらとは関わり合いはないようです。

ちなみに娘の小川雅代さんはMAHという名前で、ロックバンド「JETT SETT」でギター、ボーカルを担当。1985年の新宿ロフトを皮切りにバンド、ソロとライブ活動を続け2022年現在も活躍中。白いGIBSON SGカスタムが彼女のトレードマークです。

 

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古谷一行(竹村 宏 )

古谷一行さんが演じた竹村宏は警視庁本庁内に所属するカウンセラー。相談者である穂高夫妻だけでなく、香緒里に対しても指導を行います。

古谷一行さんは「横溝正史シリーズ」で金田一耕助を演じて当たり役となります。2019年には加藤シゲアキさんが金田一耕助を演じる「悪魔の手毬唄」に金田一耕助の相棒・磯川警部役で出演し、新旧金田一役俳優の共演が実現。

また、「金曜日の妻たちへ」「失楽園」などで人気を博し、「土曜ワイド劇場 混浴露天風呂連続殺人」シリーズの左近太郎役も当たり役となり、25年間主役を続けています。

古谷一行さんの長男はロックバンドDragon Ashのボーカリスト・降谷健志さんで、かつてはDragon AshのアルバムのTVCFに古谷一行さんが出演したり、古谷一行さんが主演した映画「手紙」には降谷健志さんが出演したりしています。

降谷健志さんの妻はタレントのMEGUMIさんで、息子、つまり古谷一行さんの孫は降谷凪さん。2020年に岩井俊二監督の映画「ラストレター」で俳優デビューしました。いつの日かおじいちゃんと共演なんてことがあるかもしれませんね。

以前、共演者の女優さんとの浮気が発覚した時は潔く認めたため、逆に古谷一行さんの株が上がったそうです。

2011年に肺がんの手術を受けていた古谷一行さん。2012年には仕事に復帰しますが、特に抗がん剤治療がとても辛かったと語っています。現在は週に2~3回はウォーキングをするように心がけているそうです。年齢的にも、体のことを考えて仕事をしてほしいですね。

 

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弓恵子(三枝子の友人)

弓恵子さんが演じたのは三枝子の友人で、幼い頃の香緒里の言動を見て心配していました。その後も時折、穂高家を訪れ三枝子の相談に乗っています。

弓恵子さんは映画「赤いカンナの花咲けば」でデビュー。「東海道ちゃっきり娘」で人気者になり、その後も大映に所属し、コンスタントに活躍します。

1966年、ドラマ「これが青春だ」以降はテレビドラマに多く出演するようになり、特に「水戸黄門」におけるお蝶役のような時代劇の悪女役に精彩を放ちます。

弓恵子さんの父は名優・潮万太郎さん、夫も俳優の宮口二郎さん、そして二人の弟・柴田昌宏さん、柴田 侊彦さんも俳優という芸能一家として知られています。

「銭形平次」「キイハンター」「ザ・ガードマン」などシリーズもののドラマへの出演が多い弓恵子さん。2013年のドラマ「クロユリ団地」以降は出演作はないようです。2022年現在85歳という年齢もあり、静かに暮らしているものと思われます。

 

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村野仁美(大川明子・不良の上級生)

村野仁美さんが演じたのは香緒里が転校した中学校の不良グループのリーダー。香緒里に因縁をつけますが去られてしまいます。

旧芸名の”村野仁美”というのは本名でもありますが、1980年に出演した「3年B組金八先生」で演じた”大川明子”という役名をそのまま新しい芸名に。「3年B組金八先生」シリーズには、ファイナルまで出演し続けました。

その後は「ずっとあなたが好きだった」「ADブギ」「教習所物語」「積み木くずし」などに出演。それ以降は目立った活動がないようですが、2019年、奥本はじめ監督の映画「やどり」に出演しました。

女優の傍武田鉄矢さんらのマネージメントもこなし、武田鉄矢さん主演のドラマには企画の段階から参加するなど積極的な活躍をしています。

「3年B組金八先生」で大川明子さんと共演した女優の上戸彩さんは、彼女のことを「アッコさん」と慕い、料理を教わったり恋愛の相談をしたりしたそうです。武田鉄矢さんの家に一緒に行って、奥さんと3人で料理を作ることもあるのだとか。

上戸彩さん以外にも多くの人と交流があるという大川明子さん。仲間内の誕生会の幹事をしたりと顔の広さも有名です。

武田鉄矢さん主演の映画に出演したモト冬樹さんの関係で、モト冬樹さんのマネージャーと知り合い結婚。現在は幸せに暮らしているようです。

「積み木くずし」実際のモデルになった人物

それではここで、ドラマ「積み木くずし」の実際のモデルになった方々をご紹介致しましょう。

穂積由香里(穂高香緒里)

穂積由香里さんは「積み木くずし」のモデル。父は俳優の穂積隆信さんです。穂積由香里さんは13歳頃から非行に走りました。両親が必死に止めようとしますが、非行はますますエスカレートし、親に金銭を要求したり暴力を振るったりしました。

両親は警察に助けを求めたり、娘とどう接していくかについてのアドバイスをもらいそれらを実践していきました。例えば門限を夜10時にし、1分でも過ぎれば絶対に中に入れないというもの。

穂積由香里さんは猛反発しますが、徐々に両親の真剣な想いを感じて、非行はだんだん収まっていきました。

父親の穂積隆信さんが穂積由香里さんとのやりとりを元に書いた「積み木くずし」が出版されベストセラーになり、ドラマも大ヒットし、穂積隆信さんは売れっ子俳優となり、連日忙しく動き回るようになります。

穂積由香里さんにしてみれば、自分が晒し者にされたと感じたのでしょう。ようやく更生しつつあったのですが、再び非行に走り、ついには薬物などの所持で2度も逮捕されてしまいます。

1986年に穂積由里の芸名でドラマ「妻たちの課外授業」で女優デビューしますが、芸能活動は成功せずアメリカへ留学。そこで知り合った男性と結婚するも、間も無く離婚します。そして、日本へ帰国後「積み木くずし」というナイトクラブを経営します。

ナイトクラブも経営不振で廃業。その後は知り合いのスナックを手伝いながら生活していましたが、大量の飲酒も祟って腎不全で入院。実母からの生体腎移植を受けて手術を受けます。手術は成功しますが、翌年、実母はこの世を去ります。

そして腎臓移植から3年後の2003年穂積由香里さんは自宅アパートにおいて多臓器不全により逝去。35歳でした。

穂積由香里さんは穂積隆信さんの実子ではなかったことが判明するなど、衝撃的な事実も明るみに出ました。穂積由香里さんはさまざまな困難に見舞われながらも懸命に生きたと思います。とにかく彼女の「生きる」というエネルギーはすごいですね。

 

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穂積隆信 (穂高信彦)

穂積隆信さんは味のある脇役として映画、ドラマで活躍。また大ヒット映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズでドク・ブラウン役のクリストファー・ロイドの吹き替えを務めたことでも有名です。2018年、胆嚢癌のため87歳で亡くなりました。

穂積隆信さんが実体験を基に出版した「積み木くずし」が大ヒットしましたが、実生活では妻が自ら命を絶ったり、娘の穂積由香里さんが病死したりと不幸の連続でした。

また、穂積隆信さんは著書やドラマ化、映画化されたことにより多額の印税も得ますが、その反動や悪徳会計士により多額の負債を抱えることにもなりました。

娘の穂積由香里さんが亡くなった時、穂積隆信さんは「『積み木くずし』さえ書かなければ・・・」と後悔の涙を流します。穂積由香里さんが亡くなったのは自分のせいだと思うとも語っていました。

穂積隆信さんにとっては「積み木くずし」だけが自分と娘の穂積由香里さんを繋ぐ接点だったとのこと。「積み木くずし」がなければ家族の人生も全く違うものになっていたでしょう。結局「積み木くずし」によって幸せになった人は一人も見当たりません。

俳優としてはデビュー以来膨大な数の作品に出演しており、また多数の吹き替えも務めています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。ドラマ「積み木くずし」。

原作とは変更されている部分もありますが、非行に走った娘が、家族の努力によって更生への道を歩んで行くという壮絶な人間ドラマであることに変わりはありません。

もちろんドラマでは描ききれなかったことも現実にはたくさんありました。しかし有名な俳優の穂積隆信さんが自らの家庭環境を赤裸々に描いた作品として、昭和を代表するドラマの一つであると思います。

そしてモデルとなったお二人の人生も波乱万丈。まさに「事実は小説より奇なり」という言葉通りかもしれません。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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