日本のドラマでは主役を演じる俳優は、生涯ずっと主役、脇役はずっと脇役と役割分担が固定していることが多いようですが、韓国では脇役や準主役を演じていきながら、主役に昇格していった俳優さんが珍しくありません。
そのため、現在主役級を演じている俳優さんが、今から考えると意外な役を演じている事が多々あります。主役級の俳優さんの誰が昔はどんな役をしていたのか? 当時のエピソードは?近況は?についてみていきましょう。
脇役から主役に昇格した俳優
それではさっそく、過去に脇役をつとめていた後に、主役に昇格した俳優さんを3名ご紹介していきます。
コン・ユ
韓国ドラマの人気の順位を問えば、必ず上位にはいってくるドラマ「トッケビ」の主人公を演じたコン・ユさん。
映画は、「トガニ 幼き瞳の告発」(2011年)「サスペクト 哀しき容疑者」(2013年)「新感染 ファイナル・エクスプレス」(2016年)に主演しています。
(https://www.cjenm.com/ko/featured-contents/%EB%8F%84%EA%B9%A8%EB%B9%84/)
コン・ユさんがブレークし”主役”の座を決定的にしたのは、2007年のラブコメドラマ 、「コーヒープリンス1号店」で、外見は冷たくクールにみえても内面は限りなく情け深い、コーヒー店の社長を演じた時だということは有名な話です。
コン・ユさんは、2001年ドラマ「学校4」デビュー後、映画やドラマに出演していましたが、特に注目されず、「コーヒープリンス1号店」の直前の主演のドラマ「ある素敵な日」は、低視聴率で、“低視聴率俳優”という不名誉なレッテルまでついていました。
まだ注目されていないこの時期に出演した作品のひとつが2006年、クオン・サンウさんとキム・ハヌルさん主演のラブコメ映画「同い年の家庭教師」です。
クオン・サンウさんが21歳の高校5年生役で、清純派だったキム・ハヌルさんがはじけた演技で、大人気をはくし、韓国で2006年の第2位の520万人を動員しました。
コン・ユさんは、 クオン・サンウさんと敵対し、何かとつらい仕打ちをする高校生の不良のボス、チョンス役を演じます。かなり間の抜けた憎めない性格で、主役二人の恋の障害物となり、ドタバタのラブストーリーを盛り上げ、笑いを誘うコミカルな役でした。
コン・ユさんは当時25歳ながら、頭がボサボサの高校生を初々しく演じます。映画は大人気だったのに、話題になったのは主役の二人で、コン・ユさんは脇役のうちの一人にすぎず、注目されませんでした。
「コーヒープリンス1号店」後のファンの間では、「同い年の家庭教師」は汚点だと否定的に考えている人もいれば、お茶目だと肯定的にとる人もいて、評価は分かれています。
今では、2枚目役がほとんどですが、この時は面白くて可愛い3枚目もしていたなんてと驚きを隠せません。
コン・ユさんの近況は、所属事務所の管理するコン・ユさんの個人インスタから知ることができ、2022年6月には、車に給油する姿、食事をしている姿、砂浜で読書をする姿等、何をしても様になるイケメンぶりの写真を更新しています。
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また、2022年中盤に撮影のパク・ボコムさん主演の韓国映画「ワンダーランド」に特別出演する予定です。
シン・ヘソン
2020年11月~2021年2月、フュージョン・コメディ時代劇「哲仁王后」の主役、哲仁王后役を演じたシン・ヘソンさん。現代の男性の魂がはいった哲仁王后の難しい役どころをなんなく消化して話題になりました。
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映画は「潔白」(2020年)「盗掘」(2020年)、ドラマは「黄金の私の人生」(2017-2018年)「30だけど17です」(2018年)「死の賛美」(2018年)「ただひとつの愛」(2019年) に主演しています。
シン・ヘソンさんが、 主演として昇格したのは、 運命に翻弄されながら、凛々しく立ち向かっていくヒロイン役を演じた「黄金の私の人生」(2017-2018年)です。
それ以前は、2016年のドラマ「どきどき再婚ロマンス~子供が5人!」で主人公の妹役で注目をあびはじめ、2016年ドラマ「青い海の伝説」・映画「華麗なるリベンジ」2017年ドラマ「秘密の森」で少しずつ活躍の幅をひろげてきました。
ここでは「黄金の私の人生」以前の2016年の映画 「華麗なるリベンジ」を紹介します。「華麗なるリベンジ」は演技派俳優ファン・ジミンさんとイケメン俳優カン・ドンウォンさんが主演です。
無実の罪で刑務所に収監された元検事のファン・ジミンさんが、刑務所でしりあった詐欺師のカン・ドンウォンさんを通じて無実の罪をはらし復讐していくという、 痛快な復讐反撃劇で、韓国で970万人を動員し、2016年上半期動員数1位を記録しました。
詐欺師役のカン・ドンウォンさんが、復讐相手の秘密の経理帳簿がほしいがために、復讐相手の選挙事務所の経理役を誘惑するというシーンにシン・ヘソンさんが経理役として登場します。
(https://www.interview365.com/news/articleView.html?idxno=74912)
シン・ヘソンさんはまんまとカン・ドンウォンさんの手口にひっかかり、帳簿を渡してしまう、まったく地味で化粧っけがなく、頭のあまりいいとはいえないけれど、復讐劇のポイントとなる役を演じました。
まだ無名のシン・ヘソンさんは、役名さえありませんでしたが、予期せぬことで大衆の視線をあびてしまいます。
カン・ドンウォンさんとシン・ヘソンさんの口づけのシーンがあり、「人気抜群のイケメン俳優カン・ドンウォンさんと口づけをした」と多くの女性ファンが嫉妬し、女性の”共通の敵”とみなされてしまったのです。
カン・ドンウォンさんは
「もともと口づけのシーンは当初台本にはなく、やるなら濃厚にと監督にいわれて、あのようなシーンになった。(シン・ヘソンさんが女性ファンから攻撃されて)口づけシーンがあるのだったら、もっと女性俳優のキャスティングに神経を使うべきではなかったか」
と裏話を披露しています。
シン・ヘソンさんは、注目をあびたものの、思いもかけず女性陣を敵に回してしまって、気苦労が多かったことでしょう。
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次期作は、ウエブライターオリジナル映画「勇敢な市民」で2022年4月にクランクアップ、同年後半に編集作業をしたあと、劇場とウエブで、公開される予定です。
イ・ジョンジェ
2021年、世界中で視聴者を熱狂させた NETFLIXドラマ「イカゲーム」の主役主人公のソン・ギフンを演じたイ・ジョンジェさん。
(https://www.asiae.co.kr/article/life-all/2021102210302413309)
映画の主演、準主演は、「ハウスメード」(2010年)「新世界」(2013年)「観相師」(2013年)「暗殺」(2015年) 「ただ悪より救いたまえ」(2020年)など。
ドラマは「砂時計」(1995年)「補佐官」(2019年)「補佐官2」(2019年)など多数出演。純粋な青年から腹黒い悪役まで幅広い演技で実力派俳優として“主役級”をこなしてきています。
1993年にドラマ「恐竜先生」で主役デビュー、映画デビューした1994年「 若い男 」の主演でその年の映画祭の新人賞を総なめにし、幸運にも主役デビューしてすぐにある程度の認知度をえました。
けれども、イ・ジョンジェさんを一躍スターダムにおしあげたのは、主役ではなく脇役を演じたドラマ「 砂時計 」(1995年)でした。
「 砂時計 」は光州事件をテーマとした社会派ドラマで、チェ・ミンスさん、コ・ヒョンジョンさん、パク・サンウォンさん主演。最高視聴率64.5%と驚異的な数字を獲得し、国民ドラマと呼ばれました。
放映時間になるとみんながテレビを見に家に戻るため、町に人がいなくなり“帰宅時計”ともいわれています。イ・ジョンジェさんは女主人公のコ・ヒョンジョンさんのボディーガード、パク・ジェヒ役を演じました。
むくわれないのがわかっていても一方的に純愛をささげ、命をかけてでも彼女をまもる、言葉が少なく寡黙で深い瞳で演技する姿が、主役のチェ・ミンスさんよりも人気を集め、韓国中で愛される国民俳優となりました。
新人賞をとって、意気揚々と「砂時計」に臨んだイ・ジョンジェさんでしたが、社会派ドラマで重い雰囲気だったので、セリフを一生懸命重く言おうとしたものの、ちっともうまくいかず、 どんどんセリフがカットされ、短くなってしまったとのことです。
格上のベテランの主役の3人に囲まれていて、まだ駆け出しだったイ・ジョンジェさんの演技が見劣りしたというのも、セリフを少なくするのに拍車をかけます。
それが功を奏して、言葉は少ない分、一言発したものは名言となり、瞳で演技すると予想外の好評をえることに成功しました。
その後の韓国ドラマにでてくるボディーガード役は寡黙な設定が多く、多かれ少なかれほとんどパク・ジェヒ役の影響をうけているといわれています。
今は演技派と称されるイ・ジョンジェさんが演技がうまくできなかったとは、想像ができませんね。それをうまく利用し、「砂時計」から他の誰にもかえられない大主役”イ・ジョンジェさん”を誕生させた監督・スタッフも素晴らしいですね。
2022年はルイ・ヴィトンのグローバルアンバサダーとして活躍しています。
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また自身が監督、脚本、主演でチョン・ウソン共演の映画「Hunt」の公開を控えています。
まとめ
コン・ユさん、シン・ヘソンさん、イ・ジョンジェさん、今は実力派で華々しく活躍している主役級ですが、脇役をしていた時期もありました。今から考えると予想もできない役もしています。
その時の脇役の演技が主役級に昇格する良い経験になったのは間違いないでしょう。いろいろな経験の土台の上で、これからも幅広い演技をされることが期待されます。
また、韓国ドラマを見るときに、今脇役をしている人の中から、次の主役級に誰がでてくるのか発掘するのも楽しみのひとつに加えてはいかがでしょうか?